CRM250(MD24/MD32)などのオフロードバイクを、オンロードレーサー(NSR250RやRS250など)のハンドリングや旋回性能に近づけるための、「思考と加工の枠組み」を提案します。
オフロード車は「直進安定性重視(キャスターが寝ている)」ですが、ロードレーサーは「旋回性重視(キャスターが立っている)」です。フレームそのものを切断・溶接せずに、この特性に近づけるための論理的アプローチは以下の4ステップです。
Step 1: 基礎ディメンションの変更(17インチ化とトレール量の適正化)
まずタイヤ径を小さくすることで、物理的な重心を下げ、ジャイロ効果をロード向きにし、トレール量を減らします。
- 17インチ化の効果: フロントタイヤが21インチから17インチになると、車軸位置が約50mm下がります。
- トレール量の変化: ノーマルのCRM250はトレールが約113mm(非常に長い)ありますが、17インチ化するだけで自然と減少し、ロードバイクの適正値(85mm〜95mm付近)に近づきます。
ポイント:
ここで重要なのは「単にポン付けしない」ことです。外径が小さくなった分、車高が下がりますが、リアとのバランス調整が次ステップで必須になります。
Step 2: 静的ジオメトリーの構築(前下がり姿勢を作る)
ロードレーサーのような「クイックな旋回」を生むには、キャスター角(ノーマル約27度)を、ロードスポーツの標準(23〜24度)に近づける必要があります。フレームのネックを切らずにこれを行うには、車体を極端な「前下がり(ノーズダイブ状態)」で固定します。
- フロントフォークのショート加工(内部ストロークカット):
単にフォークを突き出すだけでは限界があります。フォーク内部にカラーを入れて全長を短縮(ショート化)します。
狙い: フロントを下げ、相対的にリアが高い状態を作り、キャスターを立たせます。 - リア車高の維持・向上:
リアはリンクプレートの変更やショック長の調整で、可能な限り高い位置を維持します。
「前が低く、後ろが高い」姿勢を作ることで、擬似的にキャスター角を24〜25度付近まで立たせることができます。
Step 3: 動的ジオメトリーの管理(ピッチングの抑制)
オフロード車のサスペンションはストロークが長すぎ(約300mm)、ブレーキングで姿勢変化が大きすぎます。ロードレーサーのように「旋回中に姿勢を安定させる」ための加工が必要です。
- ストローク量の規制:
ロードレーサーのサスストロークは120mm前後です。CRMの300mm近いストロークを、カラー挿入やスプリング変更で150mm〜180mm程度まで制限します。
これをしないと、ブレーキングでフォークが沈み込みすぎ、キャスターが立ちすぎて切れ込み(オーバーステア)や転倒を誘発します。 - ダンピングの強化:
オンロードのグリップ力(G)に耐えるため、フォークオイルの粘度を上げる、またはオリフィス加工で減衰力を高めます。
Step 4: マス(重量)の集中化とホイールベース
ロードレーサーはホイールベースが短く(1340mm前後)、CRM(1450mm前後)は長いです。これを物理的に近づけます。
- チェーン引きの位置:
チェーンのコマ数を調整し、リアアクスル(車軸)がスイングアームの一番前に来るようにセットします。これで数センチですがホイールベースを短縮でき、旋回性が向上します。 - 着座位置の変更:
オフロードのシート位置は後ろ荷重になりがちです。ハンドル位置を下げ、ステップ位置をバック&アップ(バックステップ化)することで、ライダーの荷重をフロントタイヤに近づけます。
まとめ:CRM250 ロードレーサー化のレシピ
| 項目 | ノーマル (Off-road) | 目標 (Racer-like) | 具体的な加工・調整 |
|---|---|---|---|
| ホイール径 | F21 / R18 | F17 / R17 | モタードホイールへの換装 |
| キャスター角 | 約27度(寝ている) | 約24〜25度(立っている) | フォーク内部ショート加工 + リア車高アップで「前下がり」を作る |
| トレール量 | 113mm(安定志向) | 90mm前後(旋回志向) | 17インチ化とキャスター変更で自然と適正値に近づく |
| サスストローク | 長い(約280mm) | 短い(約150mm) | フォーク&ショックの内部スペーサーで物理的に規制 |
| ホイールベース | 長い | 可能な限り短く | チェーン調整でアクスルを限界まで前に寄せる |
注意点:
CRMのフレーム(特に初期〜中期)は、ハイグリップタイヤを履かせてサーキットのような高負荷をかけると、フレーム自体がねじれることがあります。これを「味」として楽しむか、スイングアームの補強を入れるかは、走るステージ次第となります。




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