停電が起きたとき、ふとこう思いませんか?
「うちにある発電機の電気を、家のコンセントから逆流させれば、家中の電気が使えるんじゃないか?」
結論から言いますと、これは電気業界で**「逆潮流(ぎゃくちょうりゅう)」**と呼ばれる行為で、絶対にやってはいけません。
今回は、なぜそれが「自殺行為」と呼ばれるほど危険なのか、ソーラー発電とは何が違うのか、そして安全に家で発電機を使うための「唯一の正解」について解説します。
- 発電機をコンセントに差すと起きる「2つの致命的事故」
- なぜソーラーパネルはOKで、発電機はNGなのか?
- 家全体で発電機を使うための工事費用と方法
結論:コンセント接続は「違法」かつ「命取り」
家庭用発電機で作った電気を、「オスのプラグ」を使って壁のコンセントに流し込む行為。 これは電気事業法にも抵触する恐れがある危険行為です。理由は大きく2つあります。
1. 復旧作業員を感電させる(変圧器の逆流)
家のコンセントに入れた電気は、分電盤を通って外の電線(電柱)へと逆流します。
電柱にある「変圧器(トランス)」は、普段は6600Vを100Vに落として家庭に届けていますが、逆に入ってきた100Vの電気を6600Vに昇圧(増幅)して電線に戻してしまいます。
この結果、停電だと思って点検している電力会社の作業員さんが、あなたが送った高電圧によって感電し、最悪の場合、命を落とすことになります。
2. 電気が復旧した瞬間に爆発する
もし発電機を回したまま電気が復旧したらどうなるでしょうか? <span class=”red bold”>「電力会社の巨大なエネルギー」と「家庭用発電機の電気」がコンセント部分で正面衝突します。</span>
これを同期投入失敗と言います。結果、発電機が焼き切れるか、爆発・出火し、家中の家電(パソコン、冷蔵庫など)も過電流で全滅します。
疑問:なぜソーラー発電はコンセントに繋がっているの?
DIY好きの方なら、こう疑問に思うかもしれません。 「ソーラーパネルも電気を作って家に送っているのに、なぜ発電機はダメなんだ?」と。
これには明確な技術的理由があります。それは**「パワーコンディショナ(パワコン)」**の有無です。
1. 波の形を合わせている(同期)
電気は「波」です。ソーラー発電のパワコンは、電力会社の電気の波形をミリ秒単位で監視し、波のタイミングを完全に一致させて電気を送り込んでいます。 一方、発電機の電気は波がバラバラです。タイミングの合っていない電気同士を繋ぐのは、高速道路で横から車に体当たりするようなもので、事故になります。
2. 自動停止機能(単独運転防止)
ここが一番重要です。
- ソーラー(パワコン): 停電を検知すると、0.数秒で自動的に売電(逆流)をストップし、自立運転モードに切り替わります。
- 発電機: 外の電気が止まっても、エンジンがかかっている限り電気を垂れ流し続けます。これが作業員の事故に繋がります。
つまり、ソーラーは**「高度な制御装置(パワコン)」**があるから安全に繋がっているのです。
正解:どうしても家の配線を使いたいなら「切替器」
では、発電機を家の配線で安全に使う方法はないのでしょうか? あります。それは**「切替開閉器(トランスファースイッチ)」**を設置することです。
物理的に遮断するスイッチ
分電盤の近くに、このスイッチを工事で取り付けます。
- 電力会社からの電気
- 発電機からの電気
この2つを物理的に「カチッ」と切り替えることで、絶対に両方が同時に繋がらないようにします。これなら逆流も衝突も起きません。
工事費用の目安
地元の電気工事店に依頼した場合の相場は以下の通りです。
| 部材費(スイッチ本体) | 約1万〜3万円 |
| 電気工事費 | 約3万〜7万円 |
| 総額目安 | 5万〜10万円 |
家全体を使えるようにすると高額になるため、「リビングと冷蔵庫の回路だけ」に絞って切り替える工事にすれば、比較的安価に収まります。
まとめ
発電機は非常に便利な道具ですが、接続方法を間違えると凶器になります。
- 基本は「使いたい家電を直接発電機に繋ぐ」こと。
- 家のコンセントには絶対に差さないこと。
- 家の配線を使いたいなら、電気工事店に「切替開閉器」を依頼すること。
DIYでの配線いじりは、電気工事士の資格が必要です。ご自身とご家族、そして復旧作業員の方々の安全を守るため、正しい運用を心がけましょう。



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